天候悪化と歯痛の関係性について
雨が降ると膝や腰が痛むという経験のある人も少なくないかもしれません。
そして、膝や腰だけでなく歯が痛むという人もいると思います。
そのため、天気のいい日よりも雨の日の方が歯科医院に飛び込みで来院する患者さんが多いと言われています。
この歯の痛みの理由は気圧の変動だと考えられています。歯の中には空洞があり、そこには血管や神経などが入っているのです。低気圧が近づき天候が悪化するということは晴天よりも気圧が低くなるということで、それによって空洞の内から外へかかる圧力は大きくなってしまうのです。
例えば、ペットボトルを気圧の低いところへ持って行くと、蓋を開けた途端、中身が噴き出すという現象が起きます。これは、気圧が低いことで内から外への圧力が大きくなるためです。同じように、気圧が下がることで血管や神経のある空洞部分から外への圧力が高まります。これが神経を刺激するため、痛みを感じてしまうのです。
雨が降って急に歯痛が起こるというのは歯自体に不具合があるということも多いので決して軽視は出来ません。晴れて痛みが消えたからといって忘れてしまうのではなく、歯科医へ行って診てもらう方がいいと思います。ですから、雨が降って歯が痛む時には、歯の不具合を教えてくれていると考えた方がいいのかもしれません。
とりあえず生活に困らないからといって歯の痛みを放っておくと、いつか歯科医へ行った時に困ることになるかもしれないです。早めに来院しておけば簡単な治療で済んだのに、放っておいたせいで神経をとらないといけないようなことになるという場合もあるのです。
早め早めの治療は歯の寿命にも影響します。高齢になっても自分の歯をなるべく多く残しておけた方がいいに決まっていますし、歯を健康に保つことで身体の健康や寿命にも良い影響があると考えられているので、痛みや違和感がある場合は直ぐに歯科医へ行って診察を受けることをお勧めします。
■ちなみに…昔の人の歯痛の対応方法
今は歯科医がどこにでもあって、その中から自分に合ったところを選べるくらいになりました。技術も今のように発達していなかった昔の人々はどのようにして歯痛に対応していたのでしょう。
江戸時代までさかのぼってみましょう。その頃は、幕府や各藩に口内専門の医師がいたそうです。そして、その人たちが喉、口、歯といった口内の問題に対応していました。
しかし、お金がかかるので誰でも治療出来るというものでもなかったらしく、主な利用者は上層階級の人々だけだったようです。では、それ以外の人はどうしていたのかというと、民間療法に頼って痛みの緩和をしていたそうです。
その民間療法とは、祈願、生薬、売薬、家伝薬、漢方医学、鍼、灸、祈祷師が行う病封じの呪術といったものでした。祈願などは僧侶に祈祷してもらったり、お守りを買ったりしていたそうですので、あんまり効果の期待出来そうにない方法も多かったということでしょう。
明治、大正、昭和初期といった頃になっても、今ではなじみのない方法で虫歯の痛みなどを緩和しようとしていたそうです。
◆歯の神様にお参りする。
◆歯痛に効果のあるお地蔵様の石を借り、痛む場所を石で撫でる。
◆痛む歯に竹筒をあて、その先を火にかざす。
◆梅干しを痛む場所に貼る。
◆痛む歯と頬の間に大根おろしの汁を入れる。
◆ネギの白根、もしくはよもぎの葉を痛む歯で噛む。
◆ご飯に塩を入れて紙の上でのばし、痛む側の頬に貼る。
◆ナスのへたを黒焼きにしてご飯で練り、痛い場所に押し込む。
◆蜂の巣を粉状にしてごま油にひたし、それを噛み締める。
◆蛇の抜け殻を紙につつんで、痛む場所にあてる。
本当に色々な方法で痛みを緩和しようとしていたようです。効果のほどは分かりませんが、歯の痛みを何とかしようとして藁にも縋る思いだったのであろうということだけは想像が出来ます。
このように昔の人は歯の問題に苦労していたようです。今のように虫歯の治療後につめものをするという技術もなかったので、虫歯になると歯を抜くしかなかったとのことです。
また、歯の麻酔もなかったらしく、お酒で感覚を鈍らせて抜くという方法もあったそうです。
現代の治療に慣れた我々には驚くことばかりですが、それ以上に治療法が確立されているといっても過言ではない今の時代に生まれたことを喜ぶばかりですね。